印刷のトリムマークについて

トリムマーク=トンボについてです。ひと言でいうと「印刷物を断裁するときの目安」です。一般の方は恐らくここでひっかかると思います。当然です、業者以外知らなくても困らない知識だから。

一般の方にとって、印刷が以前より身近になってきていると感じますので、今回はそんな方のために少しだけウンチクしてみます。

トリムマークが無くても大丈夫?

実は結構なんとかなります。いや、本当に。わかりやすく身近な例えでお話します。ハガキありますよね?148×100mmというサイズなのですが、これA4に4面つきますが、余裕を持たせてA4に2面を入れたとします。

ハガキはどこに面付け(配置)するのか?中央を基準に左右均等に配置します。これが一般的。と、読んでいる人はここで既に混乱していると思うのでわかりやすい絵を書いてみます。

こういうことです。A4(297×210mm)を横にして、ハガキを縦位置にしたものを2面長辺合わせで横並び。

これ、トリムマークはありませんが、天地左右ともにA4用紙の真ん中に合わせたことがわかれば断裁(仕上がりサイズに切ることです)可能です。怖いですけど。実際はこの絵のように実線はどこにもないので。サイズだけを信じて断裁します。私は数回やったことがありますがこの程度であればまず間違いなく綺麗に仕上がります。

どこで切れば良いのかを出す計算式も簡単。

左右方向 (297-(100×2))÷2=48.5mm

天地方向 (210-148)÷2=31mm

ここで出た48.5mmや31mmというサイズは、天地左右のそれぞれの余白の長さです。なので用紙の端からそれぞれこの長さを切ると、ハガキが2面つながった状態に仕上がります。最後に真ん中で100mmで切ってあげればはがきの完成。

わかっていただけましたか?

実際には、中アキやドブ(溝)などと呼ばれる余白、それからクワエ(印刷機が用紙を持っていく際に必要な空白で、印刷絵柄を置いてはいけないスペース)などが入ってきたりするので、こんなに単純ではないのですけど。

トリムマークのどこでカットするの?

トリムマークは全て内側の線で切ります。外側で切ると仕上がりサイズ+3mmになります。

この3mmがなぜ必要かというと、仕上がり線まで絵柄がある場合、仕上がり部分の外側まで絵柄がないと、紙の白が出てしまうから。

上の左の「ヌリタシなし」がダメパターンです。

これでは断裁がズレてしまうと仕上がり部分に紙のシロが出てしまいます。断裁がズレなければ良いのでは?という感覚があるかもしれませんが、現状それはムリなので。

ということで、全面絵柄と呼ばれるような“仕上がりまで柄が入ったデザイン”の印刷物は全て3mm絵柄を伸ばします。これを「ヌリタシ」と言います。超重要ですので頭の片隅で理解していただければ幸いです。

仕上がり線を入れてはいけない理由は、ヌリタシの理屈と同じです

たぶんワードとかで作ったデータにはドキュメントサイズに実線が入るなんてことは無いと思います。ですが、ドキュメントよりも作る印刷物が小さい場合、例えば名刺などをA4用紙に印刷する場合、名刺サイズに外枠入れたりしませんか?じゃないと実寸がわからなくて作る時苦労しますから。でもってそのまま印刷データを作っちゃうみたいなことになると、この実線が印刷されてしまうということになります。これもNGです。

この理屈も前項で説明したヌリタシの話につながります。つまり、“仕上がり線ギリギリで切れる絵柄や文字などを入れてはいけない”というルール。出すなら出す、入れるなら余白をとって入れる。これがルールになります。余白なら3mm以上が推奨だと思います。

トリムマークって大事です。

ということで。トリムマークって地味だけど重要だな!という話でした。印刷業者には「トンボ」と言った方が話のとおりは良いですので、これも覚えておいてください。